「野菜をたくさん食べないといけない」とは誰もが思っていますが、あなたはサラダ派ですか?それともスープ派?
最新の研究では、やはり生野菜だとヒトの体は栄養を吸収するのが難しいということが、より明らかになってきています。野菜の細胞壁は思ったより強固で、よく噛んで食べても壊れにくいのだそう。でも熱を加えると、あっさりと壊れてしまい、ヒトは栄養を摂り入れることができるのです。
スープにすると聞くと、熱で野菜の栄養が壊れるのでは?と思ったりしますが、野菜の栄養は意外と熱に強いのです。人工的に合成されたビタミンCは熱で壊れますが、自然の野菜に含まれるビタミンCは、加熱後も7~8割は残っています。また、栄養がスープの中に流れ出てしまっても、スープを飲めば一緒に食べることができますよね。
それに、サラダだと冷製なので体を冷やしますが、スープは体を温めるので、それもとても体に良い点です。健康のため、免疫力アップのため、そして癌やいろいろな病気の予防や食事療法に、野菜スープを毎日食べたいですね。
ここでは、ハーバード大学大学院で免疫栄養学について長年研究した麻布医院院長・高橋氏が考案した免疫力アップのための野菜スープ「ハーバード大学式野菜スープ/ファイトケミカルスープ」と、抗がん剤の世界的権威である熊本大学名誉教授・前田氏(2021年死去)が、癌予防のために考案した野菜スープ「メディカルスープ」のレシピをご紹介します。(2のスープは良く似ています。大事なのは、野菜を30分弱火で煮込むことですね)
ファイトケミカルスープ/ハーバード大学式野菜スープのレシピ
これは、本来は食事として楽しむスープではなく、朝一番や少し空腹のときに摂るといいスープです。でも少し応用して、食事スープにすることも可能です。たくさん作って、免疫力アップのためにいろいろ活用しましょう(下に応用例あり)。
30分煮ることで、野菜の栄養があますことなくスープに溶け出し、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維、そしてファイトケミカルがたっぷり含まれたスープができます。
別名、ファイトケミカルスープ(フィトケミカルスープ)とも言われますが、ファイトケミカルとは、野菜や果物などが、自然や日光の紫外線などに抵抗し身を守るために蓄える成分で、野菜や果物の皮の近くに多く含まれています。
一年中手に入る野菜で毎日手軽に作れますが、皮も一緒にスープにしたいので、無農薬の野菜がおすすめです。(有機野菜というより「無農薬」の方が大切です)
◆材料(スープ4,5回分)
・キャベツ 100g
・タマネギ 100g
・ニンジン 100g
・かぼちゃ 100g
◆作り方レシピ
(1)野菜を食べやすい大きさに切る。
(2)できればホーロー鍋に、野菜と水を1000ml加え、沸騰させる。
(3)沸騰したら、火を弱めて30分煮る。
▼野菜に含まれるファイトケミカルのほとんどがスープとなるので、調味料など何も加えずに、スープだけを200ml、空腹時(特に朝起きた直後)や、毎食前、午後の空腹時に摂る。
▼冬は温かくして飲む。夏は冷蔵庫で冷やしても美味しい。
▼スープを作ったあとの野菜は、味噌汁の具に使うと美味しい。慣れてきたら、スープと一緒に食べても良い。
▼飲みにくい場合は、ほんの少し塩を加えてもいい。
◆応用
・風邪を引きそうな時:ショウガ、鶏肉を加えてチキンスープ風にすると、体が温まり、風邪の症状がやわらぐ。
・野菜ごとミキサーにかけて、ポタージュスープにする。
・ブイヨンなどを加えて、濃い目のスープにする。
・カレー粉、ハーブ類、香辛料を加えて、違う味を楽しむ。
・アサリ、じゃがいも、ベーコン、豆乳などを加えて、クラムチャウダーにする。
メディカルスープのレシピ
癌の大きな原因の一つは、体内の活性酸素。活性酸素は細胞を酸化させて傷つけるため、癌を始め、老化や動脈硬化、心疾患などいろいろな病気の原因となります。
この「メディカルスープ」の材料の野菜には、抗酸化物質が多く含まれていて抗酸化作用があるので、摂取することで体内の活性酸素を減らすことができ、例えば、がん化する前の細胞の炎症を抑えることができるのです。
前田氏の指導でメディカルスープを飲んだ患者さんには、癌が壊死したという人もおり、また、抗がん剤の副作用が和らいだり、白血球の数値がよくなって治療がうまくいったという例もあります。
野菜の持つ抗酸化作用は、免疫力の向上にもつながるので、いろいろな病気の対策にもなります。
材料の野菜は、好きな野菜や冷蔵庫にあるものに変えたりしても構わないのですが、下記の野菜を入れるとより効果が期待できるでしょう。
・アブラナ科の野菜(キャベツ、ダイコン、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイなど):抗がん効果のあるイソチオシアネートを多く含み、慢性疾患の予防効果が期待できる。死亡リスクが11%低下するという研究結果もある。
・リコピン(トマトなど):脳卒中発症リスクを下げるという研究結果がある。また乳がん、前立腺がんのリスクを下げるという研究結果もある。
◆材料
・かぼちゃ 50 ~70g
・玉ねぎ 1/4個(50g)
・にんじん 1/3本(50g)
・キャベツ 50~70g
・トマト 1/4個(50g)
・セロリ(葉も含む)1/2本(50g)
★特に人参は、皮ごと使いたいので無農薬がおすすめ。他もできれば無農薬がいいです。
◆作り方レシピ
(1)【野菜をカットする】かぼちゃは種をとり、ひと口大。玉ねぎは皮を剥き、ひと口大。にんじんは皮のまま、ひと口大。キャベツ、トマトは、ざく切り。セロリ(葉も含む)は茎を小口切り、葉はざく切り。
(2)鍋に野菜と水900mlを入れ、蓋をして強火にする。煮立つ直前に弱火にして30分ほど煮込む。
▼煮る前に、油で炒めても良いです。少し味が濃くなるでしょう。
▼味付けは特にしませんが、もし飲むのが難しいのであれば、チキンブイヨン、塩・こしょう、薄口しょうゆなどお好みの調味料を少量入れてもいいです。
▼ミキサーにかけて、ポタージュにして食べてもいいです。